[PR]今日のニュースは
「Infoseek モバイル」

闇の中の妖精
HOME  BACK  INDEX  NEXT


<11> 真咲乱

 高倉美貴さんが去った後を継いで「四代目SMの女王」として登場したのが真咲乱でした。

 その彼女こそスター・システムによる最後のSM女優として忘れられない存在だと思います。
 彼女の芸暦は古く、本名の志村百合子で十代の頃からテレビのバラエティ等に出演していたそうで、十八歳で映画初出演を果たします。

積木くずし(昭和五十八年・東宝)
監督:斎藤光正 原作:穂積隆信
出演:渡辺典子、藤田まこと、いしだあゆみ、志村百合子(=真咲乱) 他


 俳優・穂積隆信が自分の娘の非行と家庭崩壊の内幕を執筆した当時のベストセラーの映画化です。
 真咲乱は脇役らしく、実は私は見ていないので、友人から戴いた情報を元にしておりますが、あらためて確認したところ間違いない様です。ビデオ化もされておりレンタル屋でも見つけやすいと思いますので、気になる方はご確認下さい。

 この後、彼女は飛躍を求めて「にっかつロマンポルノ新人女優コンクール」に応募して入賞し、「真咲乱」として本格的にデビューします。
 彼女のウリはズバリ「1000ミリバスト」!
 なんでも小学生の頃から巨乳で有名だったらしく、志麻いづみ松川ナミ、そして高倉美貴というスリム系の女優さんが主演のSM物が続いていたので、久々にムチムチ系女優を起用してという会社側の方針があったのかもしれません。


団鬼六・美教師地獄責め(昭和六十年十二月・にっかつ)
監督:瀬川正仁 原作:団鬼六
出演:真咲乱、志麻いづみ、水野さおり、名和宏 他




 真咲乱の主演デビュー作は瀬川監督の第一回作品ということもあり、かなり力の入った素晴らしい作品だと思います。
 物語はある田舎の高校に新任教師としてやって来た真咲乱が罠に落とされて……、という王道を行く展開です。

 彼女が演じるこの教師は剣道のチャンピオンであり、赴任にあたっては旧友で、すでにこの学校に勤めている志麻いづみさんが理事長に推薦した事で決まったという設定になっており、いささかネタばらしになってしまいますが、以前二人の間にはある確執があったということがストーリー展開の伏線になっております。このあたりはまず冒頭でこれから赴任する高校がある田舎の駅にやって来た真咲乱の美貌の中にあるどこか思いつめたような表情、その彼女を出迎えにやって来ている志麻いづみの含みのある笑顔にすでに表れていて、その後の二人の車の中での会話、その車のフロントガラスに降りかかる土塊、遠くに聞こえる発破の音等々でもこれから先の不気味な展開が見ている側にも伝わるように描写されていきます。

 で、作品中の美味しい場面ですが、まず駅からの道すがら、その二人が山道の中で不良達に襲われるところがあり、真咲乱は衣服ごしにその巨乳を揉まれ、志麻いづみさんは川原でのレイプとなりますが、真咲乱は剣道の達人という設定なので、不良達は忽ち木刀で打ち据えられてしまいます。

 こうして波乱含みでスタートした真咲乱の教師生活はその最初の授業から車椅子の理事長が直々に教室で視察、その車椅子を押す不気味な用務員、理事長の孫で彼女に憧れる女子生徒等が登場し、物語を一層混迷させて行きます。 まず、その女子生徒から理科標本室に誘われた真咲乱が突然背後から襲われ、気がつくとそこは保健室という出来事から、その日は志麻いづみさんの家に泊まることになり、ここで二人いっしょの入浴シーンがあります。巨乳でムチムチの肉体を持つ真咲乱とスリムながら常時勃起系の乳首と艶っぽい雰囲気が滲みでる志麻いづみさんとの裸体の比較も楽しいですが、ここで志麻いづみさんが真咲乱の乳を触り「相変わらず大きいわねぇ」と言った後、いきなり乳首あたりを抓りあげ、二人の間に今も横たわるある確執について詰問します。
 この時の、それまで優しかったはずの志麻いづみさんの意地悪で女の情念を剥き出しにした演技が印象的です。そして場面はその夜の出来事に続き、真咲乱がふと目を覚ますと隣で寝ているはずの志麻いづみさんがいません。前に不良達に襲われたことが頭にある真咲乱が、怪しげな唸り声に導かれて物置小屋へ行ってみると、そこでは志麻いづみさんと不気味な用務員がSMプレイの真っ最中で、ここでも志麻いづみさんの被虐の悶えと悦びの表情が出色です。

 そして驚愕する真咲乱を横目に自分の性癖を見せ付けるようにプレイを続行する時の志麻いづみさんの押さえた微笑がまた印象的です。 さらに精神的動揺を隠し切れないまま翌日学校で授業を行っている彼女の教室に不気味な用務員が入って来て封筒を置いていくとその中には彼女のヌード写真があり、どうやらこれは前日意識不明になった理科標本室で撮られたものらしく、これをネタにその夜、剣道場に誘い出される展開になりますが、

 このあたりのストーリーの積み重ねの流れはとても良く、自然と物語の中に惹きこまれて行きます。 で、この剣道場のシーンが前半のクライマックスで、理事長の孫娘が人質に取られていたこともあり、全裸に剣道の防具を付けさせられた真咲乱が不良達と剣道対決になりますが、今度は逆に打ち据えられ、防具からこぼれる巨乳を揉まれ、竹刀で股間を突かれて悶え苦しむという屈辱の場面をビデオ撮影されてしまいます。

 そして物語は後半、そうやって自分の身体を犠牲にして救い出した理事長の孫娘がお礼として真咲乱を自宅に招待したところから一連の事件の真相に気づかされた彼女が罠に落とされていくという、まあ、お約束の展開になりますが、いよいよ始まる本格的責めの場面はやはり見応えがあります。
 それは縛り、ローソク、浣腸、レイプ、強制レズ等々と続きますが、この浣腸の場面では体内で蠢く悪魔の薬液に苦しむ彼女が透明な水槽に入れられ、その中で最後の恥辱を演じてしまうという新企画の描写があり、好き嫌いがはっきり別れると思いますが、透明な水が見る見るうち濁っていくところが強烈です。彼女の苦悶の表情も素晴らしく、嫌がりも本気度がかなり高いと思われます。

 で、このような見せ場が続いた後に物語はラストシーンを迎えますが、それは被虐のヒロインの設定が剣道のチャンピオンであるという部分を巧みに生かした素敵なもので、なんとも言えない余韻が残ります。
 
 共演者ではまず志麻いづみさんが二転三転する物語の真相の中で重要な役割を演じていて魅力的ですし、理事長の孫娘役の水野さおりも不思議な存在感があります。また理事長役の名和宏は昭和四十年代の東映任侠映画では煮え切らない若親分、あるいは名作
「仁義なき戦い」シリーズでの村岡組長、そして異常性愛路線における色ボケお殿様等がハマり役でしたが、ここでの脂ぎった初老の男もなかなかの味わいでした。
 ただ、これは公開当時から言われていたことですが、脇役陣の演技がやや白々しいのではないかということがあり、個人的にもそのあたりは感じるものの、しかし、流れるように積み重なっていくストーリー展開や真咲乱の思いつめたような芝居を鑑みれば、瀬川監督の演出は間違ってはいないと思います。

 ということで、この作品は監督や出演者、製作者側のやる気が感じられる傑作だと思います。真咲乱も責められる場面ではかなり気合の入った演技を見せてくれて一躍注目を浴び、とにかくあの巨乳ですから男性誌のグラビアに登場する機会も多く、さらに続けて二作目の主演作が製作されていきます。


団鬼六・蛇と鞭(昭和六十一年八月・にっかつ)
監督;西村昭五郎 原作:団鬼六
出演:真咲乱、黒木玲奈、志麻いづみ 他




 真咲乱の二本目の主演作で、これまた味わい深い秀作だと思います。
 今回彼女が演じるのは美人OLで、物語は彼女が社長秘書に抜擢されるという発端から様々なクセのある人物が絡み合い、罠が仕掛けられて……、という展開になります。

 登場人物ではまず前社長秘書役の黒木玲奈の演技が出色で、真咲乱の存在故に自分が社長秘書の座から追われたという設定になっているので最初からネチネチとした虐めを含んだ態度で彼女に接して来ますが、このあたりはなかなか現実味のあるところです。

 さて、こうして社長秘書となった真咲乱の初仕事は成人映画の名物男・港雄一が演じる総会屋との応対で、もちろん総会屋は無理無体の連続、すっかり困り果てる真咲乱という場面です。そして素晴らしいのはその状況を社長がインターホンで聞いているというところで、実は社長とその総会屋はグルだったというのは言わずもがなです。
 また、劇中での真咲乱の私生活は、両親はすでに亡くなり弟との二人暮らしという設定になっており、それ故この姉弟の絆が強く描かれていくのですが、それが強すぎるせいか真咲乱が自宅でシャワーを浴びていると浴室の外では弟がその情景に妄想を刺激されて自慰行為を行ってしまうという描写があり、このあたりは物語の後の展開の伏線になっていきます。そしてもちろん、ここでの真咲乱のシャワー・シーンは彼女の巨乳の存在感とムチムチの肉体を十分に生かしたものになっている見せ場のひとつです。

 こういう基本設定があるということで皆様もうお分かりのように、社長は当然、黒木玲奈とデキていて、今度は真咲乱を狙っているというお約束の展開から罠が仕掛けられますが、そこで重要な役割を果たすのが、総会屋=港雄一の愛人であるクラブのママ=志麻いづみさんで、皆様お察しのとおり罠とは美人局(つつもたせ)です。それはつまり志麻いづみさんが真咲乱の弟を誘惑しベットに誘っておいての情事の最中に強面の港雄一がその場に乗り込んでくるというお定まりの展開なのですが、そこに到るまでの志麻いづみさんの色っぽい手練手管の数々は、これを拒絶できる男などいるはずがないという決定的なもので流石の演技です。

 また、少し話は前後しますが、彼女と港雄一の絡みも見応えがあり、港雄一がかなり暴力的に志麻いづみさんを扱うあたりは流石に数多くの成人映画で「犯し屋」という異名をとったことに恥じないものですし、またそれに応えて乱れる彼女の痴態・狂態はファンならずとも思わずゾクゾクさせられるものだと思います。

 で、こうして周到に用意された姦計に弟を救わんとして落ちていく真咲乱が存分に責められるのが後半です。
 それは目隠しをされて全身をいたずらされたり、巨乳を十分に強調した縛り、浣腸、そして強制姉弟相姦……等々と続きますが、被虐のヒロインはもちろんのこと、虐め役として鞭を振るう黒木玲奈の小悪魔的雰囲気がとても素敵ですし、その場のSM空間の密度の高さもかなりのものが感じられます。

 そして物語は一瞬の隙をついて逃走した姉弟が己の獣としての本性を露呈してしまった嫌悪感からか激しくお互いを求め合うというクライマックスに向けて盛り上がります。
 あぁ、この最後の部分こそ、この物語のミソともいうべきところで、かなり劇画調の展開・画面構成になっておりますが、ここまでの物語進行がやや安易というか、簡単に先が読める展開でしたので、このある種の様式美に彩られたクライマックスは、分かってはいるのですが、どぎつい余韻を残します。
 その様式美については見てのお楽しみとしてここでは伏せますが、それ故に個人的にはなかなか倒錯味が強く不思議な愛着が感じられる作品となっております。


花と蛇・白衣縄奴隷(昭和六十一年十二月・にっかつ)
監督:西村昭五郎 原作:団鬼六
出演:真咲乱、小川美那子、江崎和代 他




 真咲乱主演による三本目の本作は、タイトルからして「花と蛇」というある意味では究極のお墨付きが与えられているように感じられますが、結論から言うと、これはあの物語ではありません。

 日活製作によるSM物には昭和五十一年の
「夕顔夫人」からタイトルの前に「団鬼六」という輝かしい接頭語が添えられるようになりましたが、それはすなわち団鬼六先生のお墨付きというか、ある種の保証書のようなものだったと思います。これについては続く昭和五十二年の「檻の中の妖精」では用いられておりませんが、それをひとつおいて同年に公開された「貴婦人縛り壷」からは復活し、昭和六十年の「緊縛卍責め」まで美しき流れとして続きます。
 では何故ここでそれが途切れたかといえば、次に公開されたのが
「花と蛇・地獄篇」だったからで、続く真咲乱のデビュー作では再び「団鬼六」の冠が復活します。そして翌年は「花と蛇・飼育篇」「団鬼六・蛇と鞭」と流れていけば、次は必然的に「花と蛇〜」となってしまうのような按配で、このタイトルになってしまったのでしょうか?

 私の稚拙な文章では分かりにくいと思いますので、図式で表すと次のようになっております。

昭和六十年 団鬼六・緊縛卍責め 高倉美貴
花と蛇・地獄篇 麻布かおり
団鬼六・美教師地獄責め 真咲乱
昭和六十一年 花と蛇・飼育篇 小川美那子
団鬼六・蛇と鞭 真咲乱
花と蛇・白衣縄奴隷 真咲乱
昭和六十二年 団鬼六・生贄姉妹 小川美那子
                                                                     
 このあたりは個人的推察の域を出ておりませんが、SM物の一級品=団鬼六=花と蛇、というような図式がマニアだけでなく、当時もうすでに不特定多数の一般大衆にも深く認識されていたという証なのではないでしょうか。
 あるいは昭和五十五年にはこの作品と同じ西村監督による
「団鬼六・白衣縄地獄」という麻吹淳子さんの主演作品がすでに公開されていたので、そのリメイクと混同されるのを避ける処置だったのかもしれません。
 また、ここで製作・公開されている三本の「花と蛇」はすぺて西村昭五郎監督作品なので、そのあたりも何かしらの関係があるものと思われます。

 尚、この三本と原作との関わり等についてはいずれまた別の機会にふれたいと思いますが、まずは皆様には虚心坦懐にご覧いただきたくお願い申し上げます。
 ということで、いよいよこの作品についてですが、開始早々の吊るし、縛り、叩きというSMイメージを横溢させたタイトルバックからいきなりピンクの粘膜の大アップに続き、なにやら女性のよがり声が被ってきますので吃驚される方もいらっしゃるかと思います。実際、私も映画館の大スクリーンで初めて見た時は思わず衝撃を受けましたが、実はこれ、口腔内粘膜のアップであり、つまり歯医者の治療場面だったというオチがついております。
 
 物語はその歯科医院から始まり、その歯医者は治療と共に目を付けた美女を麻酔で眠らせて慰み者にしているという設定なので、当然看護婦=小川美那子もグルであり、そうした行為の果てに興奮した二人が診察室で絡みあうという秘め事が続きます。そしてその新たな餌食になるのが真咲乱です。

 彼女はOLでありながら、組み紐の勉強もしているということで、この歯科医院にはそのお師匠さん=江崎和代の紹介でやって来るのですが、ここでの歯の治療が真っ当にやればやるほど拷問に見えてくるという、このあたりは皆様も経験があるところだと思います。実際、虫歯を削ったりするところでは痛みに耐えかねての彼女の涙という描写もありますし、何よりも患者が座らせられるあの歯医者の椅子そのものが拷問道具と紙一重と、痛感させられます。

 こうして悪徳歯科医師に目を付けられた彼女は二回目の診察では麻酔で眠らされ、裸に剥かれて大股開きで例の椅子に縛られ、秘所を撮影されたり、悪戯されたりします。もちろん巨乳を嬲られる場面もあり、夢と現の間で悶える真咲乱の痴態・狂態は見応えがあります。またその時の男の嬉々とした表情とクールに構えているようで興奮してしまう小川美那子の対比も興味深いものがあります。
 もちろんそこには彼女の嫉妬心というものが内在しており、これは後半へ繋がる伏線になっております。

 ところでこれも当然とでも言いますか、お約束として真咲乱と江崎和代はレズの関係として設定されており、その二人の絡みも美しさ、粘っこさがあってかなり興奮度が高く見逃せません。西村監督の演出も二人の肌の艶やかさ・柔らかさというあたりを存分に活かしたものになっていると感じます。またここでも真咲乱に対する愛情と嫉妬が伏線としてちりばめられ、それをジクジクと表出していく江崎和代の演技も素晴らしいと思います。

 このようにこの作品は二人の女=小川美那子と江崎和代の存在がかなりのウェートを占めており、それが物語の中盤から後半にかけてのクライマックスを大いに盛り上げてくれます。

 まず、真咲乱が最後の歯科治療診察の後に悪徳歯科医から土蔵に誘い込まれ、襲われて縛りからレイプと続きますが、その時使われるのが彼女のお師匠さん=江崎和代が編んだ組み紐というところが芸が細かく、さらにその場に乗り込んできた小川美那子が嫉妬に狂い真咲乱をその組み紐でビシバシに打ち据えるあたりは強烈で、場面はそのまま蝋燭責めに発展します。もちろん真咲乱の嫌がり、悶えの表情も本気度がかなり高いようで刺激的です。

 一方、江崎和代は彼女が捕らわれ犯されているとは知らず、身も心も傷ついて戻ってきた真咲乱を激しく詰問します。この時の「男ができたのねっ……」と言いながら彼女に迫る江崎和代の怖さ、さらに無抵抗の真咲乱の衣服を剥がし、美しい肌に残された縄目や鞭打ちの痕跡を舌で舐めまわす時の妖しい雰囲気は最高です。
 肝心の真咲乱は困惑の中にもこのころになると己が豊満な肉体に刻み付けられた被虐の喜びに心の内までも侵食されてきており、再び連れ込まれた悪徳歯科医院でおもちゃとなってしまいます。それはまず診察椅子に全裸で固定され歯茎に何本も注射を打たれるというところから利尿剤をチューブで体内に入れられての放尿強制と続きますが、ここでは彼女の口が医療器具で強制的に開けられ固定されているので呻き声だけしか聞かれないのがやや残念で、個人的には「もっ、もれそうよっ……」というような台詞が欲しかったところです。

 で、こうした展開の後、物語はその場に江崎和代が乗り込んで来るというところから二人は例の土蔵に監禁され、縛り、鞭打ち、強制レズ、バイプ責め、おしゃぶり強制、氷責め等々の見せ場となります。
 ここで特筆しておきたいのが、江崎和代の演技の素晴らしさで、彼女はこれまで出演してきたSM物では屈折した虐め役が多かったのですが、ここでの和服姿での被虐の官能美には思わずグッと来るものがあり本当に素敵です。
 また小川美那子のクールな演技も衝撃のクライマックスに向けて巧みにこちらを導いてくれますし、悲劇が結局、登場人物を新しい世界に導いてくれるというラストには真咲乱の本当に美しい被虐の姿が拝めます。

 以上のように、この作品はなかなか雰囲気のある秀作で、女の嫉妬とSM風味を巧みに混在させて見せ場を作っていく西村監督の手際の良さは、流石数多いロマンポルノを手がけ、特にその中では最多のSM物を撮っているだけのことがあると感服させられるところです。
 しかし、その中にも不満が無いわけではありません。
 まず被虐のヒロインというべき真咲乱が物語の中で狂言回し的な役割になってしまっていること、また彼女に対する縛りがやや甘く緩いということです。それは江崎和代といっしょに縛られてる場面を見ると一層はっきりしており、せっかくムチムチで縛りがいのある彼女の肉体が活かされておらず残念でした。 実はその点については後のインタビュー記事等によると、彼女はSM物出演に当初から嫌気がさしていたらしく、そのあたりがここへ来て影響してしまったものと推察しております。

 う〜ん、すると彼女の嫌がりの演技の本気度が高いように感じられのは、演技を超えたものが存在していたからでしょうか……。
 そう思うとなかなか興味深くこれらの作品群を再鑑賞できますので、そのあたりもじっくりとお愉しみいただきたいところですが、その真偽は皆様の判断にお任せするとして、結局、この作品が彼女の最後の映画出演になってしまいました。
 
 こうしてロマンポルノで三本の主演作品を残した彼女はこの後、グラビアモデルや初期AVに出演するなどの活動しておりますが、いつしかフェード・アウトしていきました。しかし、その残された三本のSM物はいずれも力感溢れる仕上がりで、常に何かを思いつめたような彼女の面立ちは好き嫌いが分かれるところかもしれませんが、皆様にはぜひともご覧いただきたい作品ばかりです。
 彼女が活動していた当時は撮影所システムも崩壊しており、映画界全体が崖っぷちにあった時期と重なりますが、その中で最後のスター・システムで売出され製作されたのが、真咲乱であり、彼女の主演作品でした。その彼女の引退後はスター女優そのものを看板にしたSM物は製作されなくり、エロ映画自体もAVに展開を余儀なくされ、浪漫溢れるSM映画は終焉の道を辿って行くのでした。


(2003・5・30掲載)

<12>